源泉徴収の対象業務(仕事を手伝ってもらった場合の報酬・料金)

源泉徴収について、徴収業務が難しく思うこともありますが、少し整理してみると簡単に出来るようになります。
国内居住者の個人に対して支払う報酬・料金について説明していきます。

お金を支払う相手と「雇用契約」があるかどうか

源泉徴収の対象となる所得は、以下のようなものがありますが、その支払うお金について所得税を源泉徴収(天引き)する義務があります。

ただし、2名以下の家事使用人のみに給与を支払う場合は給与と退職所得については源泉徴収義務はありません。

対象となる所得には、利子所得、配当所得、給与所得、退職所得、公的年金等、報酬・料金があります。

利子所得、配当所得、公的年金等は、一般的に源泉徴収して支払うことはないので省略します。

ここで、給与所得、退職所得と報酬・料金に区別してみます。

誰かに仕事を手伝ってもらったりした場合に、雇用契約を結んでいるかいないかで、雇用契約を結んでいる場合は支払ったお金は給与所得になります。

雇用契約でない場合には、報酬・料金に区別することができます。

源泉徴収の対象となる仕事か

支払う相手の業務などによって、源泉徴収の対象になるのか、以下のとおり該当する仕事について定められています。

ただし、礼金などでの用語ではなく実質的な仕事内容を指します。

◇原稿料など
原稿、挿絵、写真、作曲、レコード・テープ又はワイヤーの吹込み、デザイン、放送謝金、著作権の使用料、著作隣接権の使用料、工業使用権等の使用料、講演の報酬・料金、技芸、スポーツ、知識等の教授・指導料、脚本の報酬・料金、脚色の報酬・料金、翻訳の報酬・料金、通訳の報酬・料金、校正の報酬・料金、書籍の装丁の報酬・料金、速記の報酬・料金、版下の報酬・料金、投資助言
業務に係る 報 酬・料金

◇士業の報酬など
弁護士、外国法事務弁護士、公認会計士、税理士、計理士、会計士補、社会保険労務士又は弁理士の業務に関する報酬・料金、企業診断員の業務に関する報酬・料金、司法書士の業務に関する報酬・料金、土地家屋調査士の業務に関する報酬・料金、海事代理士の業務に関する報酬・料金、測量士又は測量士補の業務に関する報酬・料金、建築士の業務に関する報酬・料金、建築代理士の業務に関する報酬・料金、不動産鑑定士又は不動産鑑定士補の業務に関する報酬・料金、技術士又は技術士補の業務に関する報酬・料金、火災損害鑑定人又は自動車等損害鑑定人の業務に関する 報 酬・料金

◇スポーツ選手など
職業野球の選手の業務に関する報酬・料金、職業拳闘家の業務に関する報酬・料
金、プロサッカーの選手の業務に関する報酬・料金、プロテニスの選手の業務に
関する報酬・料金、プロレスラーの業務に関する 報 酬・料金、プロゴルファーの業務に関する報酬・料金、プロボウラーの業務に関する 報 酬・料金、自動車のレーサーの業務に関する報酬・料金、競馬の騎手の業務に関する報酬・料金、自転車競技の選手、小型自動車競走の選手又はモーターボート競走の選手の業務に関する報酬・料金、モデルの業務に関する報酬・料金、外 交 員、
集金人又は電力量計の検針人の業務に関する報酬・料金

◇芸能関係など
映画、演劇その他芸能又はラジオ放送やテレビジョン放送の出演や演出又は企画の 報 酬・料金、芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金、

◇その他
ホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の業務に関する報酬・料金、役務の提供を約すること等により一時に支払われる契約金、事業の広告宣伝のための賞金、馬主に支払われる競馬の賞金

※参考 国税庁HP  平成31年(2019年)版 源泉徴収のあらまし

税率や納付方法

税率については、の報酬・料金の額×10.21%、ただし、同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については20.42%になります。
納付方法は、その報酬・料金等を支払った月の翌月10日までに納付します。
上記士業の報酬などについては、納期の特例の承認を受けている場合には、7月
10日と翌年1月20日までに納付します。

基本的には、支払う相手から請求書を受けて、源泉徴収の記載がされているのでその金額を差し引いて報酬等を支払うことになりますが、源泉徴収の記載漏れもありますので、源泉徴収の該当する支払先であれば請求書内容の確認を忘れずにおこないましょう。
源泉徴収しないで支払って、後から返金するしないのトラブルになることもあります。

また、源泉徴収したまま納付を忘れると、不納付加算税(納付すべき金額の10%、税務署から指摘される前に自主的納付の場合は5%)や延滞税といったペナルティもあるので、預かっている意識を忘れないでおきましょう。

源泉徴収する必要がない場合

個人事業主では、従業員を雇用していない場合、以下のいずれかに当てはまれば源泉徴収する必要がありません。

  1. 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
  2. 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人

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【編集後記】
今日は、源泉所得税の納付手続き。
午後には越谷で法人設立の打合せでした。
【昨日の1日1新】
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