経営している会社が今期の業績が良くなくて、赤字を出しそうですが、それって繰り越して来期の利益と相殺できる制度があると聞きましたが…
法人税における繰越欠損金制度ですね
青色申告で確定申告書を提出していますか?
設立時からずっと青色申告です
第一条件はクリアですが、欠損が多額である場合などは、繰り越せる期限があることに注意が必要です。
※冬の靖国界隈
繰越欠損金の期限
繰越欠損金は、欠損をいつ出したかにもよりますが、9年か10年繰り越せます。
(平成28年度の税制改正により、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生ずる欠損金額の繰越期間は10年とされていました)
欠損の額が少ないとすぐに課税所得となる利益と相殺されてしましますが、欠損が多額の場合はなかなか減らないこともあります。
欠損金は繰越期限があるので、利益と相殺しきれずに無くなってしまう可能性もあります。
節税という考えからは、この欠損金の期限切れは大変もったいないことにです。
期限切れにならないように
利益と相殺しても、まだ今期で期限切れとなる欠損金がある場合には、考え方としては、さらに利益が出る方向で考えると、減価償却費を計上しなかったり(費用の減少→利益の増加)、役員借入金の免除(会社にとっての借金がなくなっって得をした→利益)などが考えられます。
・減価償却費を計上しない
減価償却費は法律で定められた「償却限度額」の範囲内では自由に償却額を決められるので、償却額を計上しないことも可能です。
税法的にはOKでも、金融機関からは利益を操作している印象を与えてしまうため注意しましょう。
・役員借入金の債務を免除する
会社が役員から借り入れをしている場合に、その借入債務を免除してもらえば、その債務が無くなって、会社側で「債務免除益」という利益(収益)を認識します。
このとき書面など証明資料を残すことも必要ですが、この役員が会社の株主であれば、他の株主へのみなし贈与に該当する可能性もあるので専門家に聞いてみましょう。
無理な活用はできない
繰越欠損金の入手を目的にして、他の会社を買ったりM&Aは制限が課せられるています。
利益が沢山出るから繰越欠損金が沢山ある会社を買ったり合併しようという考えは止めておきましょう。
買ったり、合併して相手側の会社の資産や債務を引継ぎますが、すべてのケースで繰越欠損金の引継ぎにより税の負担を軽くすることができるわけではありません。
いまだにこの手で、欠損がある会社を買いませんかと持ち掛けられた話も聞きますので気に留めておきましょう。
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【編集後記】
今日はお客様の所へ訪問、崩壊しかけていると言われるとある業界の経営者ですが、業界の雲行きを早くから掴んでおり、ダウンサイジングを計画的に進めているところです。
ただし、会社の傷み方が想定より速くなった場合には、借入金が重しになってきます。
今日は資金繰りの話が中心となりました。
【昨日の1日1新】
夢一喜ハム工房のロースハム
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