中小企業の使途秘匿金課税

顧問先で受けた税務調査で、「使途秘匿金課税」という言葉を税務調査官が発言していました。
取引先で結婚された方がいたのでお祝金を贈ったのですが、贈った相手は苗字のみ記録していたので、税務調査官は本当に実在する人物なのか疑問に感じてい様子でした。
フルネームと電話番号とかわかりますかと聞かれたので、実際に電話で税務署から問い合わせなどされるとお祝い事が台無しになりかねません。
ここで、実在性を確認したい税務調査官と、感情的になった顧問先側で折り合いがつかないので、一旦今は回答できなないので、後日調べてから回答しますと間に入って一応収まりがつきました。

ただし、「使途秘匿金課税」になる可能性もありますとこの時発言がありました。

使途秘匿金課税については、あまり頻繁には聞かない課税で、これとは別に、「費途不明の交際費等」という法人が交際費等の名義をもって支払ったお金でその費途が明らかでないものは、経費にしないという規定は他の案件でよく聞いていました。

使途秘匿金課税とは(措法62②)

法人がした金銭の支出のうち、相当の理由がなくその相手方の氏名等(氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由)をその法人の帳簿書類に記載されいないもの。

そもそも使途秘匿金課税とは、1993年に元自民党副総裁の脱税事件やゼネコン汚職をきっかけに、企業から政治家へのヤミ献金(政治的な工作資金として)などの批判により、租税特別措置法の改正で1994年に導入された経緯があります。

ここで、税務調査を受けた顧問先の規模は調査を受けるくらいであっても、政治家にお金を渡したりするようなことはありません。
また、ヤミ献金みたいな多額の話でもありませんでした。

税法はマクロ的な大きな事案を想定したものから、日々の細かな取引を想定したミクロ的なもの、様々な法から成り立っています。

また、大手ゼネコンなど大企業向けの解釈なのか、中小零細企業向けの解釈なのかでも税法のとらえ方にも違いが出てきます。

今回の場合、お祝い金が1万円とすると、ペナルティとしては、支払額の40%の法人税が課されることになり、住民税も合わせると約80%の税金を支払うことになり、お祝い金を贈るには8千円の税金を支払うことになります。(赤字法人でも課されます)

今回は、感情に感情でぶつかってしまったのではないかと思いましたが、税法の成り立ちなどもきちんと理解して話さなければいけないなと気づかされました。

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【編集後記】
今日は一日事務所仕事でした。
あいだに昼食と図書館で外出しましたが暑くて汗だくになってしまいました。

【昨日の1日1新】
気象予報士と会食

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