【贈与税】生活費や教育費を贈与した場合

税理士をしていると、家族や親族からも興味本位で質問を受けることがあります。
「あなたが学生のときに仕送りしたお金って、贈与税がかかるのでは?」
「お年玉も結構もらってたから、それも贈与税がかかるのでは?」
「仕送りした分を、今になって返してもらったら、また贈与税がかかるの?」


結論から言うと、親が子に仕送りなどで送った生活費や学費は、扶養の範囲と考えられます。
110万円非課税枠の話もありますが、通常必要とされる生活費や学費には贈与税はかかりません。

もとは、相続税を逃れるのを防ぐ目的もあり、生前にお金をあげたりする贈与税は高い税率が設定されています。
ただし、多額であっても生活や教育にあてる場合は、配偶者枠などの特例もあって要件を満たせば優遇措置が受けられます。

相続税法 第二十一条の三 次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
一 法人からの贈与により取得した財産
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの
三 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で政令で定めるものが贈与により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
四 所得税法第七十八条第三項(寄附金控除)に規定する特定公益信託(以下この号において「特定公益信託」という。)で学術に関する顕著な貢献を表彰するものとして、若しくは顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして財務大臣の指定するものから交付される金品で財務大臣の指定するもの又は学生若しくは生徒に対する学資の支給を行うことを目的とする特定公益信託から交付される金品
五 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて支給される給付金を受ける権利
六 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙における公職の候補者が選挙運動に関し贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がなされたもの
香典やお見舞いなども非課税とされる取り扱い指示があります。
ただし、社会通念上相当と認められるものとされているので、何をもって社会通念上相当とするのかは、判断する人や、状況などによって明確なルールを決められないことが多いです。
どこまでいいのか税務署に聞いても答えてくれることはないでしょう。

ルールに従っていても、実態と合っていないと非課税枠が使えないこともあります。
毎年110万円の非課税枠をつかって、親から子供や孫名義の預金口座にお金を振り込んであっても、受け取った側がお金をもらった認識がなかったり、預金口座の管理を子供や孫が行っていなかったりすると、非課税枠で贈与したとみなされないで、最終的には相続税で課税されてしまいます。(名義預金)
相続税の対策などは、計画的に期間に余裕を持って、ルールと実態の違いがないように気をつけておく必要があります。

贈与税法令解釈通達
(社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)
21の3-9 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱うものとする。(昭50直資2-257改正、平15課資2-1改正)

_____________________

【編集後記】
今日は税務署へ相談にいってきました。
以前提出した書類の考え方で見解の相違があったのですが決着できました。
【昨日の1日1新】
北海道お菓子 壺屋き花
_____________________