数字につながる行動、行動につながる感情

経営の相談を受ける中で多いのが、売上UP、従業員のモチベーション、資金繰りなどがありますが、結果として現れる数字だけの解決に目を奪われがちです。
また相談する相手が、数字を扱う専門家であれば数字を中心とした現実的な話になりますが、数字は行動の結果であり、行動は感情に動かされるという過程にも注意を向ける必要があります。
問題解決にはどのような感情を持ってスタートしたのかを見つめ直すと効果的です。

スタート時点の感情をどのようにコントロールするか

心理的に数字ができるまでの過程を把握すると、感情から始まり、行動を行った結果、数字として事業の状態が現れます。
売上UPなどの課題について、心理的な面から対応を探る場合には、まずスタート時点の感情を上手くコントロールできると結果としての数字が変わってきます。
気をつけたいのが、判断をいつも論理的に行っているという思い込みがあることです。
行動経済学の意思決定理論で「プロスペクト理論」では人は得することよりも損することを避ける行動をとってしまうそうです。
つまり、人間は情報の与えられ方が違うと、感情によって違った選択をする可能性があります。
事業を行っていく上では、顧客の感情、自分の感情、従業員の感情、様々な感情にかかわることがありますので、このスタート地点である感情を上手くコントロールすることが課題解決のヒントになることがあります。

プロスペクト理論

質問1:あなたに二つの選択肢があります。
A:100万円が無条件で手に入る。
B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。
質問2:あなたは200万円の負債を抱えています。そのとき二つの選択肢があるとします。
A:無条件で負債が100万円減額、負債総額が100万円となる。
B:コインを投げ、表が出たら全額免除、裏が出たら負債総額そのまま。

質問1の+100万円の期待値も、質問2の-100万円の期待値も同額であるにもかかわらず、質問1でAを選んだ人は、質問2ではBを選択した人の数が多かった実験結果となりました。

得することは100%の確率を選択するが、100%損する確率は避けて、50%の確率で損することを逃れようとする行動が取られることが実験で判明しています。

行動することは悪いことではない

情報の与えられ方によっては、感情は論理的な選択を行わないこともありますが、行動についてはやってみないと分からないという事もあります。
実践して行動することは、なにか経験も得られます。
また、能力もつくことがあるので行動することは悪いことではなくむしろ積極的に行動することが大切です。

数字をまた感情に訴えさせる

数字の結果を見て、感情に訴えかけると効果的です。
例えば、上記の「プロスペクト理論」で言うと、いくら儲かるという説明よりも、いくら損失が出ると導いたほうが効果的に数字をつかえる場合もあります。
計画を立てて、その数字からズレた気持ち悪さの感情も大切です。
コミットメントしたことに何にも責任を持たなくなると数字の意味がなくなってしまいます。

論理的に考えているつもりでも、感情に流されていないか注意も必要ですが、数字つかって感情に訴えかけることも再現性が効果的なこともありますので、どうしても導きたいことがあるのであれば、人の感情を理解して対応してみるのも一つの対応策として有効です。

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【編集後記】
今日の午前中はオフ、午後からは勉強会に出かけました。
普段あまりお会いしない弁理士さんなどのお話が聞けて勉強になりました。

【昨日の1日1新】
所得標準率表

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